大阪家庭裁判所 事件番号不明 決定
少年 T(昭一六・六・二六生)
主文
少年を高松保護観察所の保護観察に付する。
理由
1 非行事実
少年はY(一九年)と共謀の上昭和三五年八月一六日午前三時二五分頃大阪市北区○○町○○番地○川アパート○山○三方居室において、同人の内妻○保○子(一九年)に対し、刃渡約一〇糎の登山用ナイフを突きつけ、金を出せと脅迫しその反抗を抑圧して○山所有のトランジスターラジオ一台(時価五千円相当)を強取したものである。
2 右記事実に適用すべき法条
刑法第二三六条、第六〇条。
3 主文記載の保護処分に付する事由
少年にかかわる少年調査票、大阪少年鑑別所鑑別結果通知書を併せ考えると少年の健全なる育成を期するためにはその性格、これまでの行状、環境等に鑑み相当期間保護司の指導監督を受けさせるのを相当と思料するので少年法第二四条第一項第一号を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 西村哲夫)
別紙(地裁の移送決定)
主文
本件を大阪家庭裁判所に移送する。
理由
本件公訴事実は起訴状記載のとおりである。
ところで本件については両被告人を刑事処分に付するときは、
一、両被告人には適当な保護監督者がない点からみて刑の執行猶予をすることは、社会防衛上からも被告人の矯正補導上からも適当ではない。
二、さりとて実刑に処するときは、該当法条に従て少くとも短期二年六月以上の懲役に処せざるを得ない。
こととなり、前科のない被告人等にいきなりこの重刑を言い渡すことの適否と、被告人等の将来を思うときは、判断に迷わざるを得ないのである。然るに被告人等は未だ少年院に収容されて矯正教育を受けたことはないのである。被告人等が果して少年院に収容して教育するに適するか否かは、もとより専門家である家裁の裁判官の判断に俟たねばならずその意見は尊重されなければならないが、刑事処分に付するにもまた前記の難点が存する以上、むしろ、一度は少年院送致等の保護処分を以て、被告人等の更生を図ることも考え得られるではないと思われる。
よつて少年法第五十五条によつて主文のとおり決定する。
(昭和三五年一一月九日大阪地方裁判所 裁判官 大倉道由)
別紙 (起訴状記載の公訴事実)
第一 被告人両名は共謀の上昭和三十五年八月十六日午前三時二十五分頃北区○○町○○番地○川アパート内○山○三方居室に到り、同人の内妻○保○子十九年に対し刃渡約十糎の登山用ナイフを突きつけ金を出せと脅迫しその反抗を抑圧して前記○山所有のトランジスターラジオ一台時価五千円相当を強取し
第二 被告人Yは
一、氏名不詳者と共謀の上同年四月二十八日午後八時半頃同市福島区上○○北○丁目○○番地株式会社○○舗方店舗に於て客を装つて時計売物をひやかしながら隙をみて同会社所有の腕時計二個時価計五千二百円相当を掻払い逃走して之を窃取し
二、同月末頃の午前七時頃同市北区○町○○番地株式会社○尾商店煙草小売ウインドウから同会社所有の現金二千円を窃取し
三、同年五月二日午後十一時頃同市大淀区○○町○丁目○番地質商○尾○子方店舗に於て前掲第二の一記載同様の手段を以て同女所有の腕時計二個時価計一万二千円相当を窃取し
四、同月八日午後十一時二十五分頃同市北区○○町○○番地質商○西○太郎方店舗に於て前同様の手段を以て同人所有の腕時計四個時価計一万七百円相当を窃取し
五、同年六月初頃の午後八時頃前掲第一記載の○川アパート玄関に於て○水○信所有の洋傘一本時価千八百円相当を窃取し
六、同年八月十七日午後十時頃同市北区○○町所在○町公園内に於て法定の除外事由がないのに刃渡十五・三糎のあいくち一挺を携帯所持し
たものである。
罪名及び罰条
第一 強盗 刑法第二百三十六条第一項
第二の一乃至五 窃盗刑法第二百三十五条
第二の六 銃砲刀剣類等所持取締法違反同法第三十一条第一号・第三条第一項